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欠陥住宅を考える

鉄筋工事最大手,佐藤工務店破産より学ぶ事

1次下請け,2次下請け,3次下請け,下克上の世界


鉄筋工事業最大手の佐藤工務店が自己破産して2年半がたつ.売上高は91年に663億円に達し,年間600人もの新卒を入社させ,女性の鉄筋工部隊をつくったりなどでマスコミにもよく取り上げられた話題の会社だ.旧態依然とした体質の下請け業の中でも異彩を放つ手法で人材確保を図り,全国展開した試みは私たちにも新鮮であった.

しかし,佐藤工務店が破産してしまった背景は,ゼネコンの「工事費のコスト削減」であった.佐藤工務店のような会社は,ゼネコンの下で働く「一次下請け」と呼ばれている.さらにその下に「二次下請け」「三次下請け」が存在するピラミットのような重層構造である.一次下請けは構造上,間接経費が二次,三次と比べ多くかかる.特に佐藤工業などは,技能労働者に良い条件を提示し人材確保に力を入れたり,各地に加工工場を建設したり,寮の建設にも力を入れていた.それがこの低価格化の流れに重荷になってしまったのだ.ゼネコンもよりコストの低い2次.3次下請けに直接発注するようになったため追い打ちをかけた,

現在,1次下請けをしている会社も,以前は2次,または3次下請けから成長させてきた会社だ.不景気などになると,コストがより安く受けれるチャンス!となり下克上が起きる.それの繰り返しで今の「専門工事会社」が成立している.上り詰めていった佐藤工業だがその業界のシステムによって破産したのである.システムが変わらない限り,第二,第三の佐藤工務店が登ってきては破産を繰り返すのである.

真面目な専門工事会社ほどダメージが大きい現実!

バブル全盛期はなにしろ人手不足だった.「人材調達能力の高い会社」,また労働者の高齢化,ゼネコンの未熟な現場監督との対応もあり,「管理能力の高い会社」が重宝され成長していった.真面目な専門工事会社は若い労働者の確保のために月給制の導入.休日の確保.福利厚生施設の充実,または社会保険の負担などに力を注いだ.そして社員の技術力向上のために教育に力をいれた.これらの行動がバブル後のゼネコンのニーズと合わなくなってしまったのだ.

ゼネコンの要求は,何よりもコスト削減.低コストでの請負いだった.バブル期に成長した会社は,間接経費がかかりすぎているために,工時単価が高くなっている.よって仕事の受注減になるか,赤字覚悟で受注するしか道は残っていない.しのような努力をしてこなかった会社が固定費が安いので今生き残っている.

コストが安くなることはいいことなのだが,大きな犠牲の上でのコスト削減であることも忘れてはならない.福利厚生,人材育成,資格取得などに力を入れた会社がつぶれていく.それが社会に与える損失は大きいような気がしてならない.建築業の未来を占う上で重要な問題である.



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