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今,住宅購入する人の半分くらいは,何らかの形で,健康住宅に感心があると答えるだろう.建材などに含まれる化学物質による室内空気汚染.いわゆるシックハウスが問題になりはじめて,約7年弱.最近は厚生省もいくつかの具体的な対策を打ち出すようになってきた.メーカー住宅でも「健康住宅」をセールスポイントにするメーカーも出てきている.(やや問題が多いのだが) しかし,実際に建てられる健康仕様の住宅には以外と問題を抱えているものも多い.「自然素材をたくさん使った家を建てたが,竣工後間もなくカビが生えた」とか「建物自体は健康仕様だが,専門処理会社が間違って床下にシロアリ駆除剤をまいたため台無しになった」といったトラブルをよく耳にする. |
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原因のひとつには,現場の実務者たちが「建材を健康仕様のものに切り替えれば,問題ないはず」と思い込んでしまっていることがあげられる.「目に見えない化学物質を相手にするだけに効果が見えにくい.とりあえずノウハウ本に書いてあるとおりにやるしか手だてがない」と考え,いわゆる健康住宅のマニュアル本などに載っている仕様をそのまま流用する.「従来の合板はF1合板に切り替える」「塗料は自然素材のアウロを使う」といったノウハウを単純に踏襲して家づくりを進めてしまうわけだ. むろん身体に影響を与えると思われる建材の使用を避けることは不可欠だ.しかし,健康な家をつくるには,それだけでは必ずしも十分とはいえない.設計法や施工法,建て主との交渉やアフターケアまで含めて見直していくことが大事になる. |
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1993年竣工の例 竣工後1年ほど経過してから施主の子供にアトピー性皮膚炎と気管支ぜんそくの症状が発生した.高気密・高断熱の鉄筋コンクリート造だ.床暖房を設置し,内部の仕上げも,床がムク材のフローリングに天然塗料を塗ったもの.壁と天井はモルタルとしっくいによる左官仕上げ,という絵に描いたような健康仕様の家だった. 問題の原因は,建材の仕様からではなく施工不良である.仮住まいの関係でできるだけ,早く完成させて欲しいという強い要望があったこともあり設計者も施工者もそれにこたえ,突貫工事で家を仕上げた.その結果いくつかのミスをおかしてしまった.その一つが,「漏水」だ.屋根の防水シートの施工が不十分だったらしく,雨漏りが発生した.そのため天井裏に相当の水がまわり室内の湿度が上昇した.サッシなどの建て付けもあまり良くなく,開け閉めに手間がかかるので,建て主もあまり窓を開放し換気に心がけていなかった. 下水管の配管にも問題があった.通気用の配管端部をあまり高い位置に設けないばかりか,床下にはうように設置してしまった.また端部には通常,異物が入らないように通気性のある(金網)カバーを取り付けるが,このカバーが付けられていなかった.その結果,野ネズミが建物内部まで進入し,床下を駆け回ることになってしまった. |
| 施工不良が,アトピーの原因であるかどうかははっきりしない.生活上の変化などに原因があるかもしれない.しかし,今までに私も身に覚えがあることだが,工事を急がすのは「百害あって一利無し」.健康住宅でないにしても同じ.作るのは人間であり,気持ちよく仕事をしてもらえるような配慮が必要.急がせば急がせる程,現場での作業は「終わらせることのみ」に気持ちが行ってしまう.特に商業系の施設はほとんどが開店日の広告をうつタイミングやライバル店の存在があり1日でも早くという気持ちが先走る.心が入らずに完成させてしまったらなにもクライアントに有利になることはない.しかも,それがクレームに跳ね返ってくるからたまらない. |